前回は「トンボ(トリムマーク)」について解説しました。トンボとセットで必ず理解しておきたいのが「塗り足し(ぬりたし)」です。
特に、チラシやポスターなどで紙のフチまで色やデザインを入れたい「フチなし印刷(裁ち落とし印刷とも言います)」の場合、この塗り足しが非常に重要になります。
「塗り足しって、具体的にどういうこと?」「なぜ必要なの?」「どれくらい付ければいいの?」
そんな疑問をスッキリ解決して、キレイなフチなし印刷を目指しましょう!
この記事の目次
塗り足しっていうのはね、仕上がりサイズのフチまで色や写真を入れたいときに、実際の仕上がりサイズよりもちょっとだけ『はみ出して』デザインを作っておくことだよ!
補足説明
塗り足しとは、印刷物を断裁する際に生じるわずかなズレを考慮して、仕上がりサイズ(内トンボで示される線)よりも外側まで、背景の色や画像を余分に伸ばしておく部分のことです。
通常、仕上がり線の外側に上下左右それぞれ3mm~5mm程度の塗り足しを作成します。この塗り足しを付ける範囲の目安となるのが、前回説明した「外トンボ」です。
紙をスパッと切るとき、ほんのちょっとだけズレちゃうことがあるんだ。そのズレたときに、白い紙のフチが見えちゃったらカッコ悪いよね?それを防ぐための『保険』みたいなものだよ!
補足説明
印刷物は、大きな紙に印刷された後、指定された仕上がりサイズに断裁されます。この断裁作業は非常に精密に行われますが、それでも機械の特性や紙の伸縮などにより、コンマ数ミリ単位のわずかなズレが生じることが避けられません。
もし、塗り足しが全くない状態で、仕上がりサイズぴったりにデザインが作られていた場合…
どちらも、せっかくのデザインが台無しになってしまいますよね。
この「断裁ズレによる意図しない白いフチの出現」を防ぐために、塗り足しは絶対に必要です。塗り足しを仕上がり線の外側までしっかり作成しておくことで、多少の断裁ズレが生じても、デザインが途切れることなくキレイに仕上がります。
背景色、背景画像、フチにかかるオブジェクトなどは、必ず仕上がりサイズを示す内トンボの線よりも外側(通常は外トンボのラインまで)はみ出すように配置します。
一般的には上下左右に各3mmの塗り足しが推奨されますが、印刷会社や印刷物(特に厚みのある冊子など)によっては5mm以上の塗り足しを求められることもあります。必ず入稿前に印刷会社の指示を確認しましょう。
塗り足しはあくまで「断裁ズレのための予備領域」です。切れてしまうと困る重要な文字情報、ロゴ、写真の主要な部分などは、仕上がり線よりもさらに3mm~5mm程度内側に配置するように心がけましょう。これを「セーフティゾーン」や「版面(はんづら)」などと呼ぶこともあります。
仕上がり線ギリギリに文字などを配置すると、断裁ズレによって切れてしまうリスクが高まります。
塗り足し部分は基本的に断裁されて捨てられる部分ですが、デザインが途切れないように、背景のパターンや画像は自然に繋がるように配置しましょう。
基本的に、紙のフチまで色やデザインがない(=白いフチがある)印刷物の場合は、塗り足しは必要ありません。
例えば、便箋のデザインで、四方に白い余白があるような場合です。
塗り足しの重要性、ご理解いただけましたでしょうか?
フチなし印刷を美しく仕上げるためには、トンボと塗り足しの正しい理解と設定が不可欠です。
入稿前には、データに不備がないか、再度しっかり確認しましょう!
これで「シリーズ1:初めての印刷データ作成!これだけは押さえよう」は完結です!お疲れ様でした!
次回からは、「シリーズ2:もっと知りたい!印刷用紙と加工の選び方」が始まります。
最初の記事は「【A4、B5だけじゃない!】意外と知らない印刷用紙の「規格サイズ」一覧」です。お楽しみに!
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