新シリーズ「もっと知りたい!印刷用紙と加工の選び方」、いよいよスタートです!
第1回目は、最も基本的ながら意外と奥が深い「印刷用紙の規格サイズ」についてです。
「A4とかB5は知ってるけど、A0ってどれくらい?」「A判とB判って何が違うの?」
そんな疑問を解消し、用途に合った適切な紙のサイズを選べるようになりましょう!
知っているようで知らない、紙のサイズの世界を探検します!
この記事の目次
みんながバラバラの大きさの紙を使ってたら、機械で扱いにくかったり、無駄が出ちゃったりするでしょ?だから、使いやすいように世界や国で大きさが決められているんだよ!
もし紙のサイズがバラバラだったら、印刷機やコピー機、製本機などの機械で扱うのが非常に大変になります。
また、紙を無駄なく使う「面付け(大きな紙に複数のページを配置すること)」も難しくなり、コストアップにも繋がります。
そこで、効率的に紙を利用し、国際的なやり取りをスムーズにするために、紙のサイズには一定の「規格」が定められています。
日本で主に使用されるのは、「A判(エーばん)」と「B判(ビーばん)」という2つの規格です。
これらはJIS(日本産業規格)で定められています。
A判は世界中で使われているサイズなんだ!A0っていう大きな紙を半分に、また半分に…って折っていくと、A1, A2, A3…って小さくなっていくよ。
A判は、ドイツの物理学者オズワルドによって提案された国際規格(ISO 216)で、世界中で広く使われています。
面積が1平方メートルのルート長方形(縦横比が1:√2)を「A0」とし、これを長辺で半分に折っていくと、A1、A2、A3…とサイズが小さくなっていきます。
どのサイズも縦横比は1:√2を保っているため、どのサイズに縮小・拡大しても無駄が出にくいのが特徴です。
サイズ | 寸法 (mm) | 主な用途例 |
---|---|---|
A0 | 841 × 1189 | ポスター、図面、学会発表用ポスター |
A1 | 594 × 841 | ポスター、図面、カレンダー、地図 |
A2 | 420 × 594 | ポスター、カレンダー、設計図 |
A3 | 297 × 420 | パンフレット(二つ折りでA4)、ポスター、メニュー |
A4 | 210 × 297 | コピー用紙、書類、チラシ、カタログ、雑誌 |
A5 | 148 × 210 | ノート、書籍(単行本)、手帳、納品書 |
A6 | 105 × 148 | 文庫本、手帳、ポストカード(少し大きい) |
A7 | 74 × 105 | メモ帳、単語カード |
A8 | 52 × 74 | 小型カード、値札 |
A9 | 37 × 52 | ごく小型のカード |
A10 | 26 × 37 | さらに小型のカード、ラベル |
B判はね、日本の美濃紙っていう昔の紙の大きさが元になっている、日本生まれのサイズなんだ!A判よりちょっとだけ大きいのが特徴だよ。
B判は、江戸時代の公用紙であった「美濃紙(みのし)」をルーツとする日本独自の規格です(JIS規格)。
A判と同様に、面積が1.5平方メートルのルート長方形を「B0」とし、これを半分に折っていくことでB1、B2…とサイズが展開されます。
A判の各サイズよりも一回り大きいのが特徴です。
サイズ | 寸法 (mm) | 主な用途例 |
---|---|---|
B0 | 1030 × 1456 | 駅貼りポスター、大型ディスプレイ |
B1 | 728 × 1030 | ポスター、地図、カレンダー |
B2 | 515 × 728 | ポスター、展示パネル、カレンダー |
B3 | 364 × 515 | 電車内吊り広告、ポスター、メニュー |
B4 | 257 × 364 | 新聞折込チラシ、グラフ用紙、賞状、履歴書 |
B5 | 182 × 257 | 大学ノート、週刊誌、教科書、カタログ |
B6 | 128 × 182 | 単行本、手帳、卓上カレンダー |
B7 | 91 × 128 | パスポート、メモ帳、小型リーフレット |
B8 | 64 × 91 | 小型カード、店舗用POP |
B9 | 45 × 64 | ごく小型のカード |
B10 | 32 × 45 | さらに小型のカード、ラベル |
ポイント:
どちらの規格を使うべきか迷うこともあるかもしれません。
といった観点で選ぶと良いでしょう。もちろん、デザインや内容によって最適なサイズは異なります。
普段何気なく使っている紙のサイズにも、こんな歴史やルールがあったんですね。
印刷物を作る際には、まず「どのサイズで作るか」を決めることから始まります。
今回の知識が、あなたの制作活動の一助となれば幸いです。
次回は、「【印刷業界の常識】「菊判」「四六判」って何?~効率的な面付けの秘密~」をお届けします。
A判・B判とはまた違う、印刷業界特有の紙の規格について深掘りします!お楽しみに!
印刷物に関するお悩みも安心してご相談ください!