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1-5.【濃い色の注意点】CMYKの合計値とは?ベタ塗りをキレイに印刷するコツ

印刷
2025.07.17

前回は「RGBとCMYKの違い」について解説しましたね。
印刷データはCMYKで作るのが基本ですが、実はCMYKの各色のインク量にも注意が必要なんです。

特に、黒や濃い色をベタッと塗りたい時、「インクをたくさん使えばもっと濃くなるはず!」と思っていませんか?
実はそれが、思わぬ印刷トラブルの原因になることがあるんです。
今回は、キレイでトラブルのないベタ塗り・濃色印刷のコツ、「CMYKの合計値」について解説します!

CMYKの合計値(総インキ量)って何?

CMYKって4色のインクで色を作るでしょ?その4色のインクの量を全部足したのが『CMYKの合計値』または『総インキ量』って呼ばれるものだよ!

CMYKカラーモードで色を指定するとき、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)それぞれに0%から100%までの値を設定しますね。

例えば、

  • C:100% M:80% Y:0% K:0% という色があったとします。

この色のCMYK合計値は、100 + 80 + 0 + 0 = 180% となります。

もし、リッチブラック(深みのある黒)を表現しようとして、

  • C:100% M:100% Y:100% K:100% と設定したら、合計値は 400% にもなってしまいます。

このCMYK合計値が高すぎると、様々な印刷トラブルを引き起こす可能性があるのです。

CMYK合計値が高いと、どんな問題が起きるの?

インクを使いすぎると、紙がインクを吸い込みきれなくて、乾きにくくなっちゃうんだ。そうすると、あんなことやこんなことが…!

CMYKの合計値が高すぎる(=使用するインクの総量が多すぎる)と、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • インキの乾燥不良
    インクがなかなか乾かず、次の工程に進めなくなったり、納品が遅れたりする原因になります。
  • 裏移り(セットオフ)
    乾いていないインクが、重ねられた他の印刷物の裏面に付着してしまう現象です。せっかくのデザインが台無しに…。
  • インキ剥がれ・擦れ
    インクがしっかりと紙に定着せず、ちょっとした摩擦で剥がれたり、擦れて汚れたりしやすくなります。
  • 波打ち(ウェイビー)
    特に薄い紙の場合、インクの水分で紙が波打ってしまうことがあります。
  • モアレの発生要因(濃度が高い場合)
    意図しない模様(モアレ)が見えてしまう原因の一つにもなり得ます。

これらのトラブルは、印刷の品質を著しく低下させてしまいます。

推奨されるCMYK合計値は?どうやって確認するの?

じゃあ、どれくらいのインク量なら安心なの?実は、印刷会社さんや使う紙によってもちょっと違うんだよ。

一般的に、CMYKの合計値の上限は300%~350%以内に抑えるのが良いとされています。

ただし、これはあくまで目安です。

  • 新聞紙のようなインクを吸いやすい非塗工紙
    合計値の上限はもっと低く設定されることが多いです(例:280%以下)。
  • コート紙のようなインクが乗りにくい塗工紙
    比較的高い合計値でも対応できる場合があります。
  • 印刷機の性能や印刷会社の基準
    これらによっても推奨値は異なります。

一番確実なのは、入稿する印刷会社のウェブサイトで推奨値を確認するか、直接問い合わせることです。

IllustratorやPhotoshopでの確認方法

  • Illustrator: 「ウィンドウ」メニュー → 「分版プレビュー」を開き、「オーバープリントプレビュー」にチェック。「総インキ量」を選択し、上限値を設定すると、その値を超えている箇所がハイライト表示されます。
  • Photoshop: 「ウィンドウ」メニュー → 「情報」パネルを表示。スポイトツールで色を拾うと、CMYKの各値と合計値(TAC/総インキ量と表示されることも)が確認できます。

キレイな「リッチブラック」を作るコツ

「K100%だけだと、なんだか黒が浅い気がする…」と感じることはありませんか?
そんな時におすすめなのが「リッチブラック」です。K100%にCMYの色を少し加えることで、より深みのある豊かな黒を表現できます。

ただし、ここでもCMYK合計値に注意が必要です!

リッチブラックの例(合計値300%以内を意識)

  • C:40% M:30% Y:30% K:100% (合計:200%)← オススメ!
  • C:60% M:40% Y:40% K:100% (合計:240%)
  • C:50% M:50% Y:50% K:100% (合計:250%)

避けるべきリッチブラックの例(合計値が高すぎる)

  • C:100% M:100% Y:100% K:100% (合計:400%)← これはNG!

K100%に加えるCMYのバランスによって、青みがかった黒、赤みがかった黒など、ニュアンスを変えることもできます。色々試してみるのも楽しいですが、必ず合計値を確認しながら設定しましょう。

CMYKの合計値、理解できましたか?
特に濃い色や黒のベタ塗りを多く使うデザインの場合は、この総インキ量を意識することが、美しい印刷物への重要なステップです。

次回は、「【画質は大丈夫?】印刷に適した画像解像度とは?~Web用画像との違い~」をお届けします。印刷で使う画像の「細かさ」についての知識です!お楽しみに!

この記事の監修者
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印刷営業

吉留 隆

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    • 株式会社米谷は大阪で70年以上の経験を誇り、あらゆる印刷物の対応実績があります。
    • 初めての方でも、豊富なノウハウでサポートしますので、安心してお任せいただけます。
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